NT富山で展示した球形ディスプレイの仕組みであるバーサライタの解説です。
バーサライタ(POV)とは
バーサライタは一列に並べたLEDを高速で動かすことで画像を表示するディスプレイで、残像を利用しています。残像を利用しているので肉眼では綺麗に見えてもカメラで撮るとうまく映らなかったりします。英語だとPersistence Of Vision (POV)という名称のようです。動かし方は左右に振るもの(主に手持ちのもの)もありますが、回転させるものが多いです。回転数は大体秒速10~30回転(600~1800rpm)ぐらい。
バーサライタってどんなものがあるの?というのについてはMikeさんがまとめられているのでコチラ↓を見ていただくのが分かりやすいです。
平面(円形)型が一番ポピュラーで市販されているものもあるのですが、他にも円筒形型、球形型があります。透過ディスプレイでもあるので平面型でも3Dの画像を表示させると空中に浮かんでいるように見せることもできます。
大手町の複数台バーサライタ見てきた。 pic.twitter.com/kBjpSgQkyq
— 光輝@スパシアル (@koukiwf) April 8, 2021
週末のNT富山で流す映像をチラ見せ#NT富山#球形ディスプレイ pic.twitter.com/6YyBx3YTmX
— やまたい@ものつくり (@yamatai_mk) November 3, 2021
バーサライタのメリット・デメリット
2.5D表示ができる円筒形・球形型はともかく、平面型の透過型ディスプレイというと、半透明フィルムにプロジェクターで投影する方法と、透明液晶を使う方法、透過OLEDディスプレイなどがあるがそれらに比べたバーサライタのメリット・デメリットは以下のようなものがある
メリット
・安価…LEDのバーを回転させるだけなので安価で大型にしやすい。特に透過OLEDディスプレイはあまり市場に出ていない上に高価(確かLGとサムスンが40インチのを出してた気がする)。
・輝度・コントラストが高い…プロジェクター方式や透過液晶は輝度が上げにくく、明るいところでは見えにくくなる。バーサライタはある程度明るいところでも見ることができる。
・持ち運びがしやすい:回転していない時はほぼ直線なので、持ち運びがしやすい。また構造がシンプルなので分解もしやすい。
デメリット
・耐久性に難がある:回転しているため、通常のディスプレイに比べて寿命が短い。特にモーターや、通信・電力供給用のスリップリングという部品が消耗しがち。
・回転音がする:市販のものはだいぶ静かだが、やはりモーター音や風切り音がするため、静かな部屋だと気になることがある。
・カバーが必要:手の届かない所に設置されているならば必要はないが、回転物のため保護用の透明なカバーが必要になる。またはショーウィンドウの内側など手の届かない所に配置する必要がある。
・フレームレートが上げにくい:意外と盲点なのだが、一周して一つの絵を表示するため回転数=動画のフレームレートになる。なので1秒で20回転するようなものでも20fpsでしか表示できない。ただこれは1枚羽の時で、LEDバーを2枚、3枚としていくと2倍、3倍のフレームレートで表示することができる。ただフレームレートが上がるとLEDとの通信速度が上がるため、そこの限界とも戦う必要がある。
バーサライタを作っている方々
こちらの方々の方のが参考になるので、こちらを見ていただければもっとバーサライタがわかると思います。
Home Made Garbage さん
驚異の更新速度を誇るものづくりブログの方。色々なLEDやマイコンを使ったバーサライタを試しているのでとても参考になるし、この方のブログを見なかったらLEDテープの選定とかが分からずバーサライタを作っていなかったと思う。手持ちができる”PovRanian”というバーサライタのレシピも販売されるので、バーサライタを作ってみたいという方はこちらでレシピを購入されると良いと思います。
やっぱり1周40分割じゃ物足りないね
— HomeMadeGarbage (@H0meMadeGarbage) June 9, 2020
狭ピッチでリフレッシュレート4kHz以上でSPI入力の
LEDバー欲しい#LED #バーサライタ #バーサライター #neopixel pic.twitter.com/0VQGqQ12sb
tajmahal’s blog さん
球形バーサライタを作るのにあたって大きな影響を受けた方のブログ。小型・高精細な球形バーサライタを目指して製作をされている。2mm角フルカラーLEDを使った表示がどうなるか気になります。同じものを作っているはずなのに設計や目指す方向性に違いが出るのはものづくりの面白いところ。
Suns & Moon Laboratory さん
自転車のホイール上に映像を表示する「ANIPOV」を制作されているMikeさんのサイト。メイカーフェア東京で展示をされていた時にお話しをお聞きすることができました。バーサライタでも長時間の動画を流せるんだなということを知り、自身の球形バーサライタの動画再生機能の追加へと舵を切るキッカケとなった方。
撮ってきた写真まとめました→「Maker Faire Tokyo2020行ってきた!」https://t.co/vticJwrDX9
— mike (@mikekoma) October 5, 2020
#MFTokyo2020 pic.twitter.com/REyl9KgC6P
バーサライタの構造・部品解説については次の記事で
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