バーサライタを作ろう② ~部品について~

今回はバーサライタの部品についての解説をメインに行います。記事が長くなったので構造については次回。。。

前回はコチラ

バーサライタの基本部品

バーサライタは主に以下の部品から成り立っています。
・LEDバー
・LED制御用マイコン
・回転数測定用センサー
・回転時電力・信号伝達モジュール
・モーター
・電源(バッテリー)

LEDバー

LEDを一列に並べたものです。LEDテープというのが市販されているのでそれを使うのが一番簡単ですが、使用できるLEDの条件がいくつかあり、かつ解像度を上げようとすると基板の自作を検討する必要があります。フルカラーの場合はマイコン内蔵のLEDを使うのが一般的です。単色の場合はチップLED+IOエクスパンダーICを使うことになると思いますが、解像度を上げやすい以上のメリットがない・・・
ここではバーサライタとして使えるかどうかを検証されたLEDを紹介します。

各LEDの比較はHomeMadeGarbageさんが丁寧にまとめてくださっています。

フルカラーLEDのリフレッシュレート - 電子工作 - HomeMadeGarbage
0 0 ずっとバーサライタのLED密度をあげて表示分解能を上げたいなと思っておりまして、SPI入力で2mm角のフルカラーLEDテープを探しておりました。 そうして生きておりましたらTwitterのTLで以下の商品を見かけ … "フルカラーLEDのリフレッシュレート" の続きを読む

使える

APA102C 5050

私自身が使っているLEDでバーサライタに使えることを確認済み。ただ、Aliexpressという中華系通販サイトから買っているので、本当にAPA102Cなのか互換品なのかが不明な所が怖い。。。
LEDは5mm角で間隔は狭い方が良いので1メートルあたり144個のLEDが載っているもの(“1m 144″や”2m 144”)のものを良く買います。(防水は無しで良いです)

Aliexpressで購入したことがあるのは以下のサイトです。どちらもバーサライタとしては動作しているので大丈夫かなと。

https://ja.aliexpress.com/item/32829139816.html
https://ja.aliexpress.com/item/32969463242.html

SK9822

APA102Cの代替でよく使われるLEDでAliexpressの商品名には”APA102,SK9822″と両方書いてあったりする(どっちだよ。。。)これもHomeMadeGarbageさんのところで検証済み。APA102Cに比べてリフレッシュレートが低いのと最大輝度での電流量が大きい(輝度を下げれば問題ない)というのがあるようです。
AliexpressやYahooショッピングで購入可能です。(AliexpressはSK9822だと思ったらAPA102だったり、その他の互換品かもしれないのでご注意ください)

https://store.shopping.yahoo.co.jp/suzakulab/pololu-3091.html

HD107s 2020

tajmahal’s blogさんで言及されている2mm角のフルカラーLED。APA102よりもリフレッシュレートが高速なのでバーサライタに使えそうとのこと。ただ、輝度調整がPWM式のようなので回転させた時に綺麗に見えるかが未知数。続報を期待。だったのですが、使えることが判明しました。(2022/8/29)
バーサライタの小型化・高解像度化が一気に進みそうです。

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HD107s 2020を使っている例↓

使える?

APA102 2020

APA102は2mm角のものもあるのですが、こちらはテープ状のものが発売されていないのと、なぜか2mm角のAPA102はバーサライタにはやや不向きなようです。(Cが付いていないから?)
原因としてはリフレッシュレートは充分高い(19.2Khz)ものの、輝度の制御に電流式ではなくPWM式を採用しているため、高速回転時に綺麗に映らず点として表示されてしまうようです。


ただ、色の数を減らせば表示できるという検証があり、球形POVでも使用している方もいるので、8色(3bitカラー)での運用であれば使えるかもしれません。

球体POV

使えない

WS2812(NeoPixel)

NeoPixelで採用されて有名なWS2812ですが、これはリフレッシュレートが低いので高速でLEDを切り替えないといけないバーサライタには向きません。NeoPixelはデータ信号一本で制御できるので通常の使用には便利なのですが、データ信号に加えてクロック信号を必要とするAPA102CやSK9822の方がクロック信号を上げればLEDの点滅速度を上げることができるので有利なように見えます。WS2812後継のWS2813やWS2815もデータ線のみの制御のためバーサライタには向かなさそうです。

LED制御用マイコン

LED制御用マイコンの条件としては、
・高速動作
・画像や動画を保存するためのフラッシュメモリが大きい
・小型
であることが重要です。

また、
・BlueToothなどの無線通信ができる
・SDカードと高速通信ができる
などの機能があると、回転中でもスマホから操作ができたり、SDカードに保存した長時間の動画を再生できたりします。

Atom Lite

ESP32 pico搭載のM5シリーズの一つで、小型・安価・USB経由で書き込みができるのが特徴です。BluetoothとWiFiが載っているため外部から設定が変更可能。フラッシュメモリは4MB。球形バーサライタの小さな方で使っているのはコレ。

ATOM Lite
サイズがわずか24 x 24 mmの、M5Stackシリーズ開発モジュールです。ESP32-PICOを搭載し、スマートホームデバイスや、小型のおもちゃへの組み込みに適しています。

M5Stamp Pico

ESP32 pico搭載のM5シリーズの一つで、Atomよりもさらに小型・安価ですが、書き込みにはUSBシリアル変換モジュールが必要。基本的にはAtom Liteと同様の使い方ができるかと。フラッシュメモリは4MB。

M5Stamp Pico Mate
M5Stamp PicoはEspressif ESP32-PICO-D4 Wi-Fiチップを搭載した切手(Stamp)サイズの小さな開発プラットフォームです。UIFlowを使ったグラフィカルプログラミング、Arduino、MicroPython、ESP32-IDFでの開発が可能です。

ESP32-WROOM-32E 16MB

秋月電子で扱っているESP32マイコンで通常4MBのフラッシュメモリの所、16MBも載っている珍しいもの。ただマイコン単体の販売なので、変換基板を用意するか、基板を自作する必要がある。32Eであれば16MBというわけではなく、秋月電子で販売している32Eの開発ボードの方は4MBだったりする。

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ESP32でバーサライタ(POV)を作った記事

Teensy 4.1/4.0

ARM Cortex-M7を搭載した高性能マイコン。標準600MHz(オーバークロック可能)の動作周波数、ESP32の6倍以上のパフォーマンスなどぶっとんだ性能。一方でやや高価なのと、無線機能はついていないので、無線機能を持たせたいときにはM5Stamp picoなどを別途取り付ける必要がある。バーサライタに必要な性能として高速であるというのがあるが、それに加えてこのモデルはSDカードの読み書きが超高速であるという特徴がある。通常はSPIで通信するのだが、Teensy4系はデータ信号4本で通信しているためか高速で、SDカードから画像データを読み取りながら表示するということが可能になるので長時間の動画を再生可能。球形バーサライタの大きな方で使っているのはコレ。

Teensy4.0のフラッシュメモリは2MBでSDカードのピンはあるものの、SDカードソケットを取り付ける必要があり工夫が必要。

Teensy 4.0
最大600 MHz以上で動作するARM Cortex-M7を搭載した小型のマイコンボードです。

Teensy4.1のフラッシュメモリは8MBでSDカードスロットが付いている。さらに8MBのPSRAMチップを実装できるところが2か所ある。

Teensy 4.1
Teensyシリーズ最新版で、600MHz 動作のARM Cortex M7 プロセッサ、NXP iMXRT1062チップを搭載しています。4.0よりフラッシュメモリが4倍で、オプションのメモリ増設用に2カ所が新設されています。Teensy3.6と同一サイズ形状(62.3 mm × 18.0 mm )ですが、イーサネッ...

Teensy4系の性能について検証した記事↓

SPRESENSE

最大クロック数156MHz、Arm Cortex-M4Fを6コア搭載した高性能マイコン。高価。GPSやハイレゾ再生にも対応しているが正直Teensy4.1に比べてバーサライタとしてのメリットが薄いような気がする。。。音楽再生も行うならいいのかも。SDカードには拡張ボードで対応可能。フラッシュメモリは8MB。

SPRESENSEメインボード[CXD5602PWBMAIN1]
低消費電力でありながら、GPS受信機能とハイレゾリューション・オーディオコーデックを搭載したIoT向けボードコンピュータです。例えば、GPSと高機能プロセッサを活用したドローンや、ハイレゾリューションオーディオの再生・録音、内蔵フルデジタルアンプを活用したスマートスピーカ端末、低消費電力を活かした定点撮影カメラなど、I...

回転数測定用センサー

バーサライタは一周にかかる時間をセンサで測定し、その時間を1周の解像度で割ってLEDの点灯時間を算出します。例えば1周0.1秒(毎秒10回転)で1周が100分割されているのであれば0.0001秒=100μsがLEDの点灯時間となります。ポテンショメーターみたいな常に回転角度を算出するセンサは必要なく、回転の始点のタイミングさえ測れれば十分です。また、センサの出力を直接マイコンに入れるとうまく検出されないことがあるため、シュミットトリガICを挟んで確実に矩形波にしてからマイコンに入力する方が良いです(ESP32でそういった現象が起きやすいです。スイッチ式ホールセンサなどの元々デジタル出力されるものは不要)。

フォトリフレクタ/フォトインタラプタ

どちらも赤外線LEDとフォトダイオードを内蔵し、LED光を検出することで回転位置を測定するセンサです。フォトリフレクタは反射型なので白い面を作る必要があり、フォトインタラプタは透過型で光を遮る面と通す面を作る必要があります。フォトリフレクタの方が実装は簡単なのですが、距離の調整が難しい時があります。フォトインタラプタの方が信頼性がありますが、回転がぶれる時はフォトインタラプタに当たる可能性があります。

ホールセンサ(磁力センサ)

ホールセンサはホール効果を利用したセンサで磁石の位置を検出することができます。汚れや砂が入り込むような場所で使用する時(例えば自転車のホイール)はこちらの方が良いようです。ラッチ式・スイッチ式とありますがスイッチ式が良いと思います。

回転時電力・信号伝達モジュール

バーサライタの特徴としてLEDが回転しているため、バッテリーごと回転させる場合を除いて電力を回転していない部分から供給する必要があります。電力だけ供給する場合はLEDバー・マイコン・センサーを回転部に設置します。マイコンを回転させたくない、もしくは外部から回転しているマイコンに有線で信号を送りたい時は電力と信号の両方を送信する必要があります。信号に関しては光で通信するようなものもありますが、電力供給のみであれば無線送電モジュールを、信号も送信する場合はスリップリングを使用することが多いです。

無線送電モジュール

最近はスマホでも搭載されることが多くなった、数mmの距離に電力を送信できるモジュールで、Aliexpressでも買えますし、Amazonでも見かけるようになりました。真ん中が開いているため、回転軸をふさぐことがなくモーターシャフトの外側に設置することもできます。また非接触なので寿命の長さも期待できます。販売されている無線送電モジュールは入力が5Vか12V、出力は5V 1Aと5V 2Aのものを多く見かけます。

5V入力/5V 1A出力
5~12V入力/5V 1A出力
9~12V入力/5V 2A出力

スリップリング

物理的に電源や信号を送信できるモジュールで、DCモータのように金属のリングに金属ブラシで電流を伝える仕組みです。高速な信号を伝えるのはやや心配ですが銅のパイプと細い銅板で自作も可能です。信号も一緒に送りたい時や2A以上の電流を送りたい時にはスリップリングを使うとよいでしょう。Amazonで買えるものは種類が少ないのと思ったより大きかったり小さかったりするのでAliexpressで買う方がおススメ。安価なものは適正回転数が数百rpmしかないですが、600rpm~1000rpmぐらいで回していてもまだ壊れたことはありません(とはいえ消耗品ですが)。通常のものは軸を通せないので設置には工夫が要りますが、中空のものも販売されているのでバーサライタの構造に合わせて選定しましょう。

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モーター

モーターは回転数に合わせたものを選ぶべきで、600~2000rpmのものを選ぶのが良いです、ただ、回転する部分の重さが増えると回転数が下がるのと電流が上がるので、適切なギアボックスがついているものか、ベルトなどで減速するのを推奨します。回転部分が軽い時はギアなしモーターのダイレクトドライブでもいけるようです。

DCギアモーター 6V/12V

AmazonやAliexpressでよく見かけるDCモーターで安価で回転数が多いのが特徴。1000rpm~2000rpmぐらいのがおススメ。シャフトも太いので固定しやすい。ただ負荷が高いと熱くなりやすく、ブラシが焼き切れることも。低負荷だと特に問題なく長時間動作していることを確認済み。

DCモーター 3000rpm 12V/ 6000rpm 24V

高トルク、静音なモーターでAmazonで見つけました。大きな方の球形バーサライタで使っています。大きめなバーサライタを作る時には最適。適度に減速してあげた方が電流消費量が下がるので、タイミングベルトとプーリ―で減速してあげると静音性を保ったまま減速することができます。シャフト径は8mmなので3Dプリンタ用のタイミングベルト・プーリ―が使用できるのもGood。

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RS540-SH 14000rpm 7.2V

HomeMadeGarbageさんが使用されているモーター、安心のマブチ製。限界電圧 12.0V、 適正電圧 7.2V、 適正負荷 19.6mN・m (200gf・cm) 、回転数 14000r/min 、消費電流 6.0A 、シャフト径 3.17mm、 重量 159g、外観寸法 50.0×35.8mm。HomeMadeGarbageさんはこれを1.5Vのダイレクトドライブで回している。

小型ギアDCモーター 2000rpm 6V/12V

未検証ですが、小さいギア付きモーターを見つけたのでご紹介。シャフト直径はおそらく3mm。

電源(バッテリー)

電源はまあなんでも良いのですが、モーターを使うので大きめの電流を流せるものが良いです。バッテリーごと回転させるのなら軽量なリチウムポリマー電池が良いでしょう。展示であれば5Vや12V出力のACアダプターを使います。モバイルバッテリーを使えば外出先でも使用できますし、PD(パワーデリバリー)対応のモバイルバッテリーと、PDで9Vや15VのDC出力に変換できるケーブルを使えば12Vのモーターとかも使用できます。(12VのPDケーブルもあるのですが、PDの新しい規格では12Vが廃止されてしまったので、12VのPDが無いバッテリーだとおそらく9Vで出力されるかと思います。)

バーサライタの構造については次の記事で

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